対話型リーダーシップ研修
対話型リーダーが、個と組織の経験を深める
組織には、なぜ対話が必要なのでしょうか?
「 異なる意見をまとめあげて、皆が納得できる結論を出す 」
これも一つの目的なのですが、多くの組織で十分活用されていない対話の利点は、
「 対話することで、互いの経験が深まり、互いの能力を高め合える 」
このことだと思います。
組織で活動する最大の強み、それは ” 対話の持つ経験深化力 ” を活かせることに他なりません。
しかし今、組織の中で経験も対話も共に不足してきています。二つ理由があります。
一つは、リモートワークの常態化。
そしてもう一つは、タテ型組織の形骸化です。
まず一つ目。
制限の多い今の状況が、体を動かし、人に会い、五感で学ぶ機会を著しく奪っています。
「 コロナで活動量と経験が半減している気がする 」
セミナーで出会った中堅ビジネスパーソンの言葉です。
経験の減少は、伸び盛りな人材の成長スピードを遅らせてしまうかもしれません。
加えてリモートワークは、もとから主体性のある人材や、既にまとまっているチームの生産性を高めた反面、
場の中で自分の経験を語ったり、他者の経験に触れたり、という ” 対話の経験 ” を減少させているところがあります。
チームに ” 自分の居場所 ” を感じにくくなっている、そんな状況も増えつつあります。
これまで ” 職場 ” が半自動的に担ってきた、
「 メンバー達に居場所を感じさせ、切磋琢磨させる舞台装置 」
この機能を、今後は『 リーダー自身の対話技術 』で、自覚的に補填拡充していく必要がありそうです。


そして二つ目。
日本企業の多くは ” タテ型組織 ” 。 (タテ割組織とは異なります)
その ” タテの強み ” が、徐々に形骸化してきています。 (形骸化が進むとタテ割組織に)
社会組織論の書「タテ社会の人間関係 〜 単一社会の理論 〜」(中根千枝著)で語られているように、
樹木を逆さまにした形状を持つ ” 底辺のない三角関係 ” の連結は、下へ下へ、あるいは横へと枝葉を伸ばし、
新しい人をスムーズに対話の輪に招き入れたり、上層の方針を下層まで浸透させ必要な対話を促したりする上で有利な構造です。
ただし、この構造が機能するためには、各階層間の結びつき、具体的には、
経営 〜 部長複数名との、三角形の信頼関係
部長 〜 課長複数名との、三角形の信頼関係
課長 〜 複数チームリーダーとの、三角形の信頼関係
チームリーダー 〜 メンバー達との、三角形の信頼関係
これら全てが、滞りなく確立されている必要があります。
各階層の信頼関係にほころびがあると、そこで連動が途切れてしまうということです。
年功序列・終身雇用の時代において、結節点のボルトは概ねきつく締められていました。
自分のまずまずの将来が想像できる安心感から、下の人間が上の人間を信頼しやすかった時代です。
しかし今、上司は多様な顔ぶれの部下と繋がらなくてはいけません。
新しい価値観を携えた若い世代、互いに遠慮してしまうかつての上司、海外からの部下も益々増えてきます。
喩えるなら、樹木の幹の先に別の植物の枝を継ぎ、その枝の先にさらに別の植物の葉を生やす。そんな状態です。
連結が弱く枝が折れてしまうと、そこから先に水や養分は運ばれません。
異品種を継いだ枝であっても折れないように・・そんな努力に挑戦しているのが、今の上司なのです。
リモートワークの常態化と、タテ型組織の形骸化。
この2つが、” 個の経験 ” を減らし、” 対話の濃度 ” をうすめ、” 組織の経験蓄積 ” を阻んでしまっている可能性はないでしょうか。
* * *
原則に立ち返り、リーダーには2つの対話力が一層今求められています。
一つは、部下との1on1の対話力。
そしてもう一つが、部下どうしの対話を促進する、場の要としての対話力です。
(加えて、上司との対話力、他部署との対話力、顧客との対話力も重要なわけですが)
この2つの対話力を高めながら、上司自身のリーダーシップスタイルを磨いていくプログラムが、
『 対話型リーダーシップ研修 』
です。
〜 6つの特徴 〜
★ 受講者は、アセスメントで自分のリーダーシップスタイルを確認します
★ コーチング技術とファシリテーション技術を統合した理論とワークを体験します
★ 組織が関心を持っている個別のテーマで演習を行うため、興味を持って取り組めます
★ 受講生全員がコーチとファシリテーターを経験し、自分の強みと改善点を把握します
★ 間隔を置き ” 半日研修を複数回 ” 行う形式も可能です(短期集中実施も可)
➡️ 忙しい受講者も参加しやすく、また職場実践〜研修の往復で学びが深まります
★ オンライン形式を推奨します
➡️ ” オンラインでの対話力 ” と ” オンラインでのリーダーシップ ” も高まります
会話は好きだが、意見が異なる相手との対話が苦手な日本人。
だからこそ、意識して磨いていく必要がある、対話型のリーダーシップ。
コーチングとファシリテーションの統合技術を学びながら、
上司自身のリーダーシップスタイルを磨きあげていく高密度なプログラムです。


以前、営業兼コーチの男性7名と、営業活動を日々支援してくれる女性2名で編成されたチームを経験しました。
チーム名は ” チーム男塾 ” 、マネージャーの私は ” 塾長 ” と呼ばれたりもしていました。
塾長の語感とは異なり、私がここで経験した最大の学びは、
「 部下の活動やアイデアに支えられて、自分が上司をやらせてもらっている
一方で、意見を尽くし採用したアイデアに責任をもつのは、自分の役目だ 」
ということでした。
週一回の営業進捗ミーティングの時間を使って、ある時みんなで次の問いを考えたことがあります。
「 男塾をどんなチームにしたいか? 」
一人ひとりのビジョンが交点を結び、3つの約束事としてまとまったのが、次の ” 塾則 ” です。
『 一つ、数字を尊ぶべし
一つ、とことん意見を尽くすべし
一つ、ごきげんを旨とすべし 』
この3つ、今も私が仕事に取り組む大方針となっています。
上司の中に示すべき大事な何かがある時は、真摯な態度で示せばよし。
部下に自分の選択を見つけてもらいたい時は、コーチングあるいは、そっと見守ることが必要です。
そして、上司も部下も答えが今はない、あるいは答えを決めつけてはいけない時には、
リーダーが進んで ” 対話の要 ” となり、
「 みんなが答えを見つけたくなるような ” 発見型の問題 ” 」
を投げかけることも、大切なリーダーシップ要素だと思うのです。
* * *
組織が成長し続けていくためには、
” 個の経験 ” を深め、 それを ” 組織の経験 ” へと高めていく ” 技量と熱量 ”
これを兼ね備えた『 対話型リーダー 』が必要です。
たとえ困難な出来事が続く日々であったとしても、リーダーがそこに対話を立ち上げていくことができれば、一人ひとりが ” 糧となる経験 ” をきっと見つけていけるはずです。